アフリカ東部の国々で「サバクトビバッタ」が過去最大級の大量発生をしています。
いわゆる「蝗害」であるわけですが、日本にいるバッタがそのような状態になったという話は聞きませんよね。
また、蝗害がどのようなものなのか、バッタが何故大量発生して農作物を食い荒らすのか、よくわからないと思います。
そこで今回の記事では、バッタの大量発生は何故起きるのかについて、お伝えさせていただきます。
バッタの大量発生は何故起きるのか?
アフリカで大量に発生しているバッタは、「サバクトビバッタ」という種になります。
今年に限らず、アフリカでは数多くのバッタが大量発生して問題となっています。
このバッタが大量発生することにより、あらゆるものを食べつくすことを「蝗害(こうがい)」といい、規模によっては災害に指定されるほどの甚大な被害になることも珍しくありません。
1平方キロメートルに集まるサイズの比較的小さなバッタの群でも、人間に換算すると1日あたり3万5000人とほぼ同じ量の食料を食べるというのですから驚きですよね。
特に、今回発生している蝗害はバッタの総数が4000億匹を超え、とんでもない被害をすでに出しています。
さて、そんな蝗害ですが、具体的にどのようなことが原因で増えるのかというと、これはバッタの習性に深く関わりがあります。
サバクトビバッタなどには、「集団で密集した環境にいると、その特性が変わる」という特徴があります。
例えば、バッタが幼虫である時に周囲に大量の同族がいると、糞の中にあるフェロモンやバッタ同士がぶつかり合う刺激で身体に変化が生じるとされています。
通常時のバッタは我々のよく知る緑色のバッタ(この状態を孤独相と呼ぶ)なのですが、上記のように特性が変わると、
2・身体に対して羽が大きくなる
3・身体全体が黒くなる
4・後ろ足が長くなる
5・大量の食料を食べ、性格が攻撃的になる
6・長距離を飛行する
7・集団で移動する
以上のような特徴がバッタに現れ、これを「群生相(ぐんせいそう)」と呼びます。
また、孤独相から群生相の状態へバッタが変化することを「相変異(そうへんい)」と呼びます。
バッタが群生相の状態になると、近場の食料を食べ尽くし、新しい食料を求めて大移動を開始します。
これが蝗害になるわけですね。
バッタの大量発生は日本でも起きたことがある!?
日本にも蝗害を引き起こす可能性があるバッタが生息しており、トノサマバッタが該当します。
古文献から、関東平野などでトノサマバッタによる蝗害が発生したことが推察されているほか、近代では明治初期以降の北海道で蝗害が発生したことが知られています。
その他にも、2007年にはオープン直前の関西国際空港2期空港島でトノサマバッタが大量発生しており、蝗害発生の条件となる群生相と見られる個体が発生していました。
しかし、毎年のように蝗害が発生しているアフリカと比べて、日本ではそういった話はほとんど聞きませんよね。
これは、日本のような狭い土地では大量発生するバッタが食べる食料がないことが要因の1つに挙げられます。
過去、日本ではたまたま高気温・高降水量といった条件が重なった場合に蝗害が発生したことがありますが、これらの条件が毎年満たされているわけではありません。
また、殺虫剤の普及に伴い、日本を始めとした多くの国では蝗害が発生することを抑止しやすくなったこともあるでしょう。
バッタに関するその他の情報
まとめ
バッタによる蝗害は本当に酷い被害をもたらします。
2020年の蝗害はかなりの規模となっており、経済などへの影響が懸念されます。