CardWirthシナリオ感想リストその12 | ごろん小路。

CardWirthシナリオ感想リストその12

名作フリーゲーム「CardWirth(カードワース)」のシナリオの情報をまとめたものになります。

主に、実際にプレイしたシナリオに対する個人的な感想になります。

今回は『ある石像鬼のはなし』・『ある石像鬼のやぼう』・『青を漕ぐ銀の櫂』です。

注意点として、ここにある情報は筆者の個人的な感想や価値観に基づくものであり、客観的・情報的に正しいかは保証できません。

また、すべてのCardWirthシナリオやその作者様・素材制作者様を侮辱・批判するものでもありません。

最低限の情報のみを掲載していますので、シナリオの配布元や現在入手可能かどうかの確認は各自の責任でお願い致します。

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CardWirthシナリオ感想


■『ある石像鬼のはなし』 覆面ノルド様 対象レベル:3~5


張り紙から抜粋【求む!実戦経験の豊富な冒険者!新型石像鬼の開発が戦闘テストの段階に入り、模擬戦相手兼アドバイザーを探しています。】


冒険者が宿で依頼を探していると、とある依頼が目に留まった。

少しばかり報酬が安いが、宿の亭主によると新人には難易度が高く、ベテランには報酬が安すぎるという。

依頼内容としてはそのままで、最近リューンの金持ちの間で流行している石像鬼……つまり、いわゆるガーゴイルの戦闘テストだそうだ。

なんとこの石像鬼、オーク程度ならそのまま倒すほどの実力があるらしい。

冒険者たちは宿の亭主から依頼内容の詳細を聞き、話し合った結果、この依頼を受けることにした。

かくして、冒険者たちは依頼主である「ベータ石像鬼研究所」へと向かったのだったが……。


張り紙にもあるように、新型石像鬼の性能テストをする戦闘シナリオ。

テストは新型石像鬼と戦闘を複数回行い、勝利した回数だけ報酬が上乗せされるという形になる。

ただし、戦闘回数が増える度に新型石像鬼は改修を受けるので、徐々に戦闘難易度が上がっていく。

また、新型石像鬼はゴーレムなので魔法生物であり、正常な精神をもたない存在である。

そのため、魔法の矢などの魔力属性の攻撃が有効。

逆に、眠りの雲など精神に作用する技能は意味をなさないので気をつけておこう。

とは言え、新型石像鬼との戦闘時、相手は一体だけなのでそこまで難しくはない。

集中攻撃を続ければすぐに倒せるだろう。

新型石像鬼との複数回にわたる戦闘を制すれば依頼は完全に達成である。


総括すると、楽しい楽しい狂い系アニキシナリオである。

つまり新型石像鬼とは、亜人肉体派石像鬼――略称アニキである。

賢者の塔向けには「アニゴイル」という名称で登録済み――なんで登録した!言え!

「どうです、サイコーでしょう!?」→「馬鹿者、作り直せ」の流れは秀逸。

こんな調子でアニゴイルをしばいて改良していくわけだが、このツッコミが実に冴える。

冒険者たちもなんだか様子がおかしいが、頭を空っぽにしてプロテインを摂取してプレイすれば大丈夫。

しかも続編も存在するので、ぜひともプレイしてみて欲しい。



■『ある石像鬼のやぼう』 覆面ノルド様 対象レベル:5~7


張り紙から抜粋【求む!石像鬼の扱いに長けた冒険者!大事な競技会が迫っているというのにド腐れ同業者のものと思わしき妨害で開発が進みやがりません。妨害に負けない 石像鬼経験豊富な 冒険者さんを探しています。】


冒険者が宿で依頼を探していると、宿の亭主が素早く依頼の張り紙を貼り付けてこう叫んだ。

「お前さんたち! その張り紙に興味があるんだな!?」

そして、宿の亭主がやたら前のめりにその依頼を推してくる。

だって「石像鬼の扱いに長けた冒険者」ってお前たちくらいだろ、と。

依頼内容としてはそのままで、石像鬼の開発競争が激化、その影響で研究所に対する妨害が発生しているので何とかして欲しいというもの。

依頼主は前回と同じく「ベータ石像鬼研究所」である。

冒険者たちは思案の後、依頼主がいるベータ石像鬼研究所へと向かった。

これから馬鹿騒ぎが起きることを予想して……。


上記の『ある石像鬼のはなし』の続編にあたるシナリオ。

今回も狂い系アニキシナリオである。

前回に引き続きアニゴイルと関わっていくのだが、どうも別の研究所に研究成果をコピーされてしまうらしい。

いつもの3人に加え、新たに加入した見習い魔術師の「スパイン」までいるのに、こうも技術を盗まれるのは一体なぜ……?

マッスル歯茎など、未発表の研究成果も盗まれたのでスパイがいるのは確実なのに。

ともかく、アニゴイルの改良作業が始まった。

今回のベータ石像鬼研究所の目的は、石像鬼競技会での優勝である。

また、作中でも述べられているが、妨害相手がコピーしても意味がないほどの速さでアニゴイルを強化する方法を採用する。

つまり、脳筋ゴリ押しである。

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「ポージング」・「ダンベル」・「気功鍛錬」から好きな訓練を選び、アニゴイルを鍛えていく。

期間は7日間しかないので、該当する必要な能力を上げていこう。

かくして、冒険者たちとベータ石像鬼研究所、アニゴイルの戦いが始まった……。


総括すると、楽しい楽しい狂い系アニキシナリオ続編である。

今回は前半の訓練パートと後半の競技会パートに別れており、どちらも冒険者の主導で行う。

また、訓練パートは能力値判定が行われるので、事前に行動力を上げてから各訓練に適性のある冒険者に担当させよう。

さらに、前半後半ともに通常通りの戦闘も発生するので、こちらにも対応する必要がある。

競技会に優勝すると、説明にあったように魔法の道具をもらえるのでぜひとも頑張ってみよう。

ちなみに、アニゴイルのシナリオは他のシナリオともクロスオーバーしており、ぜひともプレイしてみることをおすすめする。



■『青を漕ぐ銀の櫂』 mahipipa様 対象レベル:3~5


張り紙から抜粋【いのりなさい たずねなさい 十万の太陽と月が昇るまで】


冒険者が受けた依頼とは聖北教会直々の「異端審問」だった。

聖北教会としてその祈りは正しいのか、許されるものなのかを見定めようということである。

今回、異端審問として挙げられたのは冒険者たちの常宿がある交易都市リューンより遥か北。

氷と岸壁の都市「タルタ―シュ」である。

そして、ここには「タルタ―シュの箱舟」と呼ばれる逸話がある。

かつて豊かな海と山に囲まれたタルタ―シュの人々は贅沢の限りを尽くしていたが、それが神の怒りに触れたのだという。

しかし、神は人々に猶予を与えた。

街の人々に船を造らせ、悔い改めて乗り込めば許すと。

かくして、洪水がタルタ―シュを襲った。

船に乗り込んでいた清らかな人々のみが生き残り、現在に続いているとされる。

その時の方舟は聖遺物に指定されており、聖北教会が管理している。

ところが、この方舟に何者かが棲み着き、あげく偶像崇拝を行っているという情報がもたらされた。

冒険者は、聖北教会からその真偽を確かめ、異端かどうかを報告するよう求められているのだった……。


かつての審判の際に起こった事件に対する決着のためのシナリオ。

実のところ、上記の「タルタ―シュの箱舟」と呼ばれる逸話には欠落している部分がある。

それは、神が人々に対して船を建造するよう求めた際に、配下の天使を降臨させていること。

次に、その天使が神からの警告が真実であることを証明するために、見せしめとして人を害していることである。

そして現代、異端審問を請け負った冒険者が突如として消え失せ、天使「ウズネラ」と相対することになる。

一方で、取り残された冒険者たちはタルタ―シュの箱舟最後の乗組員であると自称する「アルカ」と呼ばれる青年と遭遇する。

彼からは「タルタ―シュの箱舟」に関する天使の記述の欠落や、自身が箱舟に宿った数々の祈りがかつて犠牲となった少年の持っていた形見に集まって生まれた人外であることを聞く。

箱舟に残り続ける天使「ウズネラ」は、箱舟には「罪」があると告げ、冒険者に対して「箱舟に残された罪とはなにか?」・「その罪を裁け」と問いかける。

憤怒を伴う神への不敬か、人が箱舟を作るよう見せしめとして人を害したことか、あるいはそれ以外か。

何をもってして罪となるのかを定めなければならない……。


総括すると、自身の信仰や信念と「罪とはなにか?」を考えさせられるシナリオ。

必要悪となったウズネラと、犠牲になった人の想いにより憤怒を身に宿すアルカ。

どちらにも言い分はあるだろうし、現在を生きる人々にも思うところはあるだろう。

そんな様々な想いの間に立ち、自身の決断を下す必要がある重厚な、そしてとても面白い物語となっている。

ちなみに、選択肢にもよるがNPCの連れ込みが発生するシナリオでもある。

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