名作フリーゲーム「CardWirth(カードワース)」のシナリオの情報をまとめたものになります。
主に、実際にプレイしたシナリオに対する個人的な感想になります。
今回は『逃奔』・『華は血濡れて狂い咲く』・『鰯たちへと贈る海』です。
注意点として、ここにある情報は筆者の個人的な感想や価値観に基づくものであり、客観的・情報的に正しいかは保証できません。
また、すべてのCardWirthシナリオやその作者様・素材制作者様を侮辱・批判するものでもありません。
最低限の情報のみを掲載していますので、シナリオの配布元や現在入手可能かどうかの確認は各自の責任でお願い致します。
CardWirthシナリオ感想
■『逃奔』 半人様 対象レベル:3~4
張り紙から抜粋【ねぐらを遠く離れ東。依頼をこなしながら街を転々と渡る内、遂には聖北教会の威光も乏しくなる僻地へと至った。こんな辺境でも仕事はあるものだ。
依頼を持ってきたのはこの町の更に奥地にある山村の住人だという。】
張り紙にもあるように、依頼人は山奥にある寒村の住人「ベルナート」という名前の青年。
依頼内容は山奥の薬草採取の護衛……だったのだが、実際は違う。
依頼人であるベルナート本人が語るところによれば、薬草採取の護衛は本当の依頼の露見を防ぐためのブラフであり、詳細は明日薬草を取りに行く森で行うという。
報酬も増額され、さらに危険度も偽の依頼と変わりないとのことだったので、冒険者たちはベルナートの依頼を受けることにした。
……依頼人が報酬をポンポン前払いで払うのは世間知らずのように思えたが、口には出さないことにした。
その後、目的の村に到着して一晩が過ぎ去った。
冒険者たちはベルナートによって村の中にある小屋へと案内された。
その中にいたのはまだ幼さが残る少女「マーリア」であった。
ベルナートは彼女を気遣い、そして持ってきた薬を渡すと彼女の言葉には応えずに小屋を出た。
そして森へと案内された冒険者たちは、ベルナートから本当の依頼の詳細について話を聞くのだった……。
少女「マーリア」とともに山奥の村から脱出するウィルダネス・アドベンチャー。
今回の舞台となる村には「ダーガン教」と呼ばれる宗教が幅を利かせており、明後日に行われる祭典では働けなくなった人間を「生贄」に捧げることで村全体を富ませる効果をもたらしている。
ベルナートによれば、インチキなどではなく実際に高い効果があり、農作物の収穫量が格段に向上するなどの恩恵があるのだという。
しかし、ベルナートはマーリアを生贄にすることに反対しているが、村全体がダーガン教に帰依しているため抵抗できない。
そこで、冒険者にマーリアを連れて街へと逃げてほしいと依頼してきたわけだ。
その後、妖魔に敵わず逃げたという偽装を施し、冒険者たちは夜闇に紛れてマーリアを連れて村を脱出するのだった……。
総括すると、異教を信仰する村人たちに追い回されるホラータイプのシナリオ。
シナリオ内でも言及されているが、救出対象となっているマーリアは身体が弱く、山間部の移動に身体がついていかず不調状態になってしまう。
そこで、手持ちの薬や技能を使って症状を抑えるのだが、これが中々シビア。
あまりにも進行速度が遅いと村人に追いつかれ、進行速度が速いとマーリアの身体へ負担が発生し彼女が動けなくなる。
そのため、速さと薬などのバランスを見極めながらの移動が求められる。
ウンディーネなど、複数回の治療が行えるタイプの技能が大いに役立つだろう。
また、上手く事を運べばまったく戦闘せずに下山することも可能である。
■『華は血濡れて狂い咲く』 無名し様 対象レベル:6~8
張り紙から抜粋【街道沿いの小さな古城からアンデッドが湧き出している。これを討伐し、可能であれば原因の究明と排除も依頼したい。――遂行中、との判が押されている】
とある依頼に向かった冒険者たちが戻ってこない……。
そんな話を聞かされた冒険者は、宿の亭主からその冒険者たちの行方を追って欲しいという依頼を受ける。
冒険者は様々な理由で――死別も含めて――行方不明になることがある。
一応、冒険者にも常宿はある。
だが、街から街へと歩き、時に何日も野宿をする彼らは住所不定と言っても良い存在だ。
そして、今回行方不明になった冒険者たちは依頼放棄や指名手配を受けるようなものたちではないらしい。
今から一週間ほど前、街道沿いの古城に棲み着いたアンデッド退治に出かけたのだが、そのまま未帰還であるようだ。
また、冒険者の一人が宿の亭主に「なぜこの依頼を私に?」と聞くと、行方不明となった冒険者の中には自分と面識がある「シレンツィア」が含まれていたからだ……。
行方不明になった冒険者たちを追って古城を捜索する探索シナリオ。
ただ、冒頭でPCたちが不穏なものを感じている通り、古城へ向かった冒険者たちはすでに死亡している。
想定されていた敵はスケルトンやゾンビなどの下級アンデッド。
だが、実際にはそれに加えて自身の研究によって吸血鬼と化した魔術師だった。
仲間を魔術師に殺されたシレンツィアだったが、魔術師が用いていた吸血鬼の力により自身もまた同類となってしまう。
結果、吸血鬼の力で魔術師を撃退したシレンツィアだが、自分もまた怪物となってしまったことで自分の道を見失ってしまうのだった……。
総括すると、吸血鬼となってしまった同業者に対する姿勢が問われる面白いシナリオ。
冒険者という危険に飛び込む職業である以上、死は身近なものだが、実際に自分が怪物になった顔見知りの人間をどうするのかという話。
シナリオとしては複数のルートがあり、当然そのまま怪物を討伐するルートも存在する。
あるいは、仲間として連れ込むことも可能で、カードワースをプレイしているなら彼女のことを知っている人も多いかと思う。
また、ストーリーが進行していくとシレンツィア視点の回想シーンが入るのだが、彼女がなぜ冒険者になったのかや主人公に対する執着の理由を知ることができる。
■『鰯たちへと贈る海』 作者名:iti様 シナリオ代筆:mahipipa様 対象レベル:6
張り紙から抜粋【冒険者たちが遠征中に通り掛かったある村では、こう言い伝えられている。『女は海へは還れぬ。海で死んだ女は――』】
交易都市リューンよりはるか西方にある「村」、森と海が直に面する海岸沿いの村は冒険者たちの脳裏に「よそ者」という言葉を容易く想起させる場所だった。
そんな僻地の村「サルディオ」を案内してくれたのは一人の娘だった。
彼女は宿泊する際は小屋を使っていい、火を焚いても構わないと伝えると、風雨を凌げる程度の小さな小屋へと案内した。
彼女は冒険者たちが手際よく火を熾すことに驚いていた。
冒険者たちの一人が「火を熾すことも大変なほど生活が苦しいのか?」と問いかけたが、彼女は自分が不器用だからと答え、さらにこう続けた。
「女は海に拒まれる。海で死んだ女はハーピーになるのだ。」といった言い伝えがあるのだという。
その後、彼女は仕事がまだ残っているからと告げて、その場から離れていった。
しかし、冒険者たちが食事を摂っていると、何かが燃えるような臭いが漂ってきたのだった……。
僻地の村「サルディオ」を舞台にした探索シナリオ。
非常に閉鎖的かつ排他的な村であり、少し村人に話を聞いてみるだけでもそれがよくわかるほど。
そんな村で火事が起こり、その後「イアレ」と呼ばれる女性――冒険者たちを案内した人物が行方不明となる。
元々彼女は孤児であり、村の外からの人間ということで良い扱いは受けていないようだった。
そんな彼女の足跡を追うようにして冒険者は調査を開始する。
最終的に、冒険者たちは森や海側にある祠などを捜索したが、イアレを見つけ出すことはできなかった。
しかし……。
総括すると、緩やかに滅びへと向かう僻地の村と、その閉鎖的な環境から抜け出そうとあがいた人間を描くシナリオ。
最後に僻地の村「サルディオ」は炎に焼き尽くされることになるが、彼女が「成らなかった」としても滅ぶという結果は同じだったろう。
また、冒険者がサルディオは貧しく臆病すぎたと評しているように、新しい何かを取り入れることなく朽ち果てていくだけでは死ぬしかない。
この村はそういうものだったのだと、赤く燃え終えた大地に背を向けて想う。
ちなみに、このシナリオで手に入るアイテムはmahipipa様の別シナリオで加工することができる。
そのため、売却せずに保管しておくことをおすすめする。
groupASK official fansite:カードワース本体のダウンロードはここから!