名作フリーゲーム「CardWirth(カードワース)」のシナリオの情報をまとめたものになります。
主に、実際にプレイしたシナリオに対する個人的な感想になります。
今回は『桃源郷の恋人』・『風のレゾナンス』・『百年は霧の色』です。
注意点として、ここにある情報は筆者の個人的な感想や価値観に基づくものであり、客観的・情報的に正しいかは保証できません。
また、すべてのCardWirthシナリオやその作者様・素材制作者様を侮辱・批判するものでもありません。
最低限の情報のみを掲載していますので、シナリオの配布元や現在入手可能かどうかの確認は各自の責任でお願い致します。
CardWirthシナリオ感想
■『桃源郷の恋人』 cobalt様 対象レベル:4~6
張り紙から抜粋【山のあなたの空遠く、幸い住むと人のいふ。】
今回の依頼は木葉通りに住んでいるパピリオ商会の隠居「エオン」という老人からのもの。
何でも、「東の大森林」のさらに奥、「薄桃色の花の咲き乱れる里」へ「櫛」を返して欲しいというものだった。
東の大森林と言えば前人未到の地であると冒険者は記憶していたが、依頼人が言うにはかつて自分が踏破したのだという。
依頼を受諾した冒険者たちは、食糧や道具の準備をして東の大森林へと旅立った。
そこはまさに秘境であり、人の手が入っていない大自然が容赦なく冒険者を襲うことになる。
水の中から襲ってくるケルピーや麻痺毒を使って敵を捕食する怪物、延々と雨が降り続ける雨の領域など様々な困難が立ちふさがる。
はたして、冒険者たちは「薄桃色の花の咲き乱れる里」へ無事たどり着けるのだろうか……。
「薄桃色の花の咲き乱れる里」と呼ばれる場所へ「櫛」を届ける探索シナリオ。
おそらくカードワースシナリオの中でも相当に有名なシナリオなので、プレイしたことがなくても名前は知っているという人もいるだろう。
道中では上記のような障害への対処と、食糧を確保するための「狩り」を行いながら目的地へと歩いていく。
これらへの対処は中々難しいもので、選択肢や戦い方などによっては苦戦することも珍しくない。
とくに食糧を入手する「狩り」は、キーコードではなくPCの能力値判定で行われるため、適性がない冒険者を選ぶと容赦なく失敗してしまう。
さらに、「食糧」・「食べ物」などのキーコードには対応していないため、食糧は現地調達が前提となるので注意をしておこう。
また、複数のシナリオのクーポンに対応しており、ちょっとしたセリフの変化などが現れることがある。
いろんな冒険をした冒険者としては嬉しいものである。
総括すると、シビアな探索システムとハードなストーリーで冒険者を魅せてくれるシナリオ。
文字通り「秘境を旅する」ことができるシナリオであり、未知の冒険がしたい人へおすすめできる。
とくに道中の描写からリューンへの帰還が難しくなるため、「生きて帰れるのか?」という緊張感がある。
また、上記にもあるが様々なクーポンに対応しており吟遊詩人・精霊術士・獣人・エルフなどのPCは普段とは違う反応を見ることができるだろう。
■『風のレゾナンス』 吹雪様 対象レベル:5~6
張り紙から抜粋【仲間の一人が命を救った修道女ヨルラは、フィラーレ公国貴族の娘だった。ヨルラを救った英雄として一躍有名になった冒険者は、ついに公国から騎士として仕官の誘いを受ける。パーティーは別離の時を迎えるのか?】
交易都市リューンから半刻、クスノキ修道院からの依頼だった。
内容は単純、ブドウの果樹園を荒らす犬のような小型妖魔退治であった。
一人でも十分に対処できると踏んで、いつものパーティから自分だけで依頼を受けた冒険者。
コボルトの退治依頼は問題なく終わったのだが、院長に依頼達成の報告をしていると雨が降り出してしまう。
冒険者は、隣の宿坊へ寝具を取りに出たシスターの様子を見に行くことを申し出る。
夏の午後のような豪雨が降りしきる中、冒険者は綺麗にたたまれた敷布を運ぶ女性――シスター・ヨルラを見つけた。
シスター・ヨルラと一緒に修道院へ戻ろうとした冒険者だったが、冒険者とシスター・ヨルラの進路を遮るかのように、いつの間にか黒いローブの人影が佇んでいた……。
妖魔の退治依頼からはじまるシティ・アドベンチャーシナリオ。
とは言え、基本的にストーリーは一本道であるため迷うことはない。
ことの発端は黒いローブの人影……暗殺者にシスター・ヨルラが襲われ、彼女に「聖痕」が現れたことから。
これにより、彼女を助けた冒険者を取り巻く状況が一変する。
冒険者の一人は、教会が政治的にシスター・ヨルラを利用する可能性を示唆したが、結局のところ根無し草の冒険者にできることはない。
さらに、いかなる政治的な働きがあったかは不明だが、隣国フィラーレ公国の大司教からシスター・ヨルラを助けた冒険者を破格の待遇を約束する手紙が届いたのだった。
何と公国騎士団に冒険者を迎え入れたいとのこと。
客観的に見れば日雇いの冒険者から破格の出世だと言える。
そして、シスター・ヨルラを還俗(げんぞく、聖職者が元の身分へ戻ること)させ貴族として復帰、冒険者をその護衛としたいのだという。
騎士叙勲を受けて騎士団の一員になるか考える冒険者だったが、答えはすぐにには出てこない。
数日後、シスター・ヨルラが宿を訪れるが、その帰りに前回襲撃を仕掛けてきた暗殺者が待ち伏せていたのだった……。
総括すると、非常に丁寧なつくりのシナリオ。
冒険者を含めて、登場人物たちの心の内を緻密に描写しているため、重厚な物語を堪能できる。
また、物語を進める会話パートと、探索を行う冒険パートが交互にくるため飽きさせない。
ぜひともプレイして欲しい名作シナリオである。
■『百年は霧の色』 吹雪様 対象レベル:5~6
張り紙から抜粋【トラン村の沼地に化物が徘徊し始めた。村の暮らしにも不自由が出ている。化物の正体を突き止め、退治してほしい。】
その時、冒険者たちは中央行路の東端にいた。
冒険者の宿に仕事が少なく、止むなく遠出する依頼を引き受けるしかなかったからだ。
その帰路、冒険者たちはトラン村の見習い修道士「カール」に声をかけられる。
彼が言うには、トラン村で問題が発生しており、その解決を冒険者に依頼したいのだという。
「詳しい話はトラン村で……。」ということなので、冒険者は彼の案内でトラン村にあるトラン修道院へ歩いていった。
トラン修道院に到着すると、修道院の院長代行「ヨゼフ」が依頼内容の説明をしてくれた。
何でも、今から10日ほど前、村人が植物を採取する沼地に深い霧が立ち込め始め、さらに正体不明の怪物らしき影を目撃した。
そのため、冒険者に沼地の霧の発生原因の特定と、怪物の討伐を依頼したのだった……。
かつて行われた聖遺物捜索へ赴いた騎士団と、現代に生きる冒険者が交差する探索シナリオ。
沼地に出現する怪物……吸血鬼たちを退治するのだが、彼らの正体はかつて十字軍として東へ向かった聖北教会の信徒たちだ。
彼ら――聖院騎士団は、伝説の聖人「聖マテル」の聖遺物を探す命を受け、それを発見した。
しかし、西方世界に聖遺物を持ち帰る途中、彼らは行方不明となってしまう。
その原因が、彼ら自身が吸血鬼となってしまったからであった。
冒険者たちは沼地を捜索する中、吸血鬼と遭遇しこれを撃破したが、沼地の霧は一向に収まらなかった。
事態が解決していないと判断した冒険者たちは、ヨゼフの案内のもと修道院の書庫へと向かった。
そこには十字軍時代に集められた美術品や武具、書物が大量に存在していた。
かつて、トラン修道院は疫病や間者などによって混乱していた十字軍の看護を担当し、その感謝の例として彼らの資産の一部を譲り受けたのだという。
吸血鬼が今際の際に残した「剣」や「背教者」について、冒険者たちは書庫の調査を開始するのだった……。
総括すると、重厚な背景設定が用意された舞台で世界の謎を解いていく面白いシナリオ。
残念ながら、吸血鬼化してしまった聖院騎士団を根本的に助ける方法はない。
そのため、冒険者彼らと雌雄を決するために戦うことになる。
また、作中で度々言及されている聖遺物「マテルの剣」は、最終的に冒険者の手に渡ることになるのだが、これ事態には大した力はない。
ちなみに、上記の『風のレゾナンス』もそうだが、本シナリオの作者様が制作するシナリオはいつも奥深い世界観を魅せてくれるので本当に面白い物語ばかり。
ぜひともプレイして欲しい名作シナリオである。
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